意匠図面作成のツール

2019/04/20

意匠図面は何を使って描く?

特許図面も意匠図面も、当時はドラフツマンが製図用のペンを使って一枚一枚、手書きで図面を描いていました。それも今となっては遠い昔。今ではコンピューターによる作図が一般的ですね。もしも今、手書きの時代に戻ったらどうなることでしょう。図面の修正には、ものすごい時間がかかりますし、簡単にコピペともいきません。パーソナルコンピューター(PC)の出現によって意匠図面作成は劇的に変化しました。このカテゴリでは、そんな意匠図面を描くツールについて考えてみようと思います。

出典:amazon.co.jp

手書きからPCの時代へ

そもそも、特許図面・意匠図面を描くための専用のソフトはありません。CADやグラフィックソフトなどを使って描いています。また、現在は一つだけのソフトで完結することは少なく、三次元CAD、CGソフトなどを行ったり来たりしながら図面を描くことが多くなりました。今では当たり前になったPCによる作図ですが、最初から作図方法が確立されていたわけではありません。手書き時代のドラフツマンが、「どのようなハードがいいのか、どのようなソフトが作図に向いているのか」など、あれこれ試行錯誤の上、作図方法を確立していったのです。

 

三次元CADの普及

現在の意匠図面作成の現場では、「三次元CADの存在なしには考えられない」といっても過言ではないでしょう。手書きからコンピューターへの移行には長い時間がかかりましたが、二次元CADが普及してから、三次元CADに移行するまでの期間は大変短かったように感じられます。

三次元CADで設計をする、その三次元データを活用して意匠図面に仕上げる>このような図面作成の流れが非常に多くなりました。とは言ってもすべてがこのような方法ではなく、現物を実測して作図していく場面も多々あります。

三次元CADはあくまで設計支援ソフトでありますので、三次元CADそのもので意匠図面を描くのには向いていません。次は意匠図面作成としてどのようなソフトが使われているのか考えてみようと思います。

 

CAD派・グラフィックソフト派

意匠図面を描くソフトは大きく分けて、AUTO CADなどのCAD派とAdobe Illustratorなどのグラフィックソフト派に分かれると思います。どちらにも一長一短があり、どちらが良いかの優劣をつけることには意味がありません。また、それぞれ多くのソフトがあるので簡単に比較することもできません。

簡単に特徴をあげると、「CADソフト」は設計を目的としているのでドラフティングツールが充実していて高精度な作図が強みです。一方、「グラフィックソフト」は、CADほどドラフティングツールが充実していませんが、高度な描画ツールによって豊かな図面表現が可能です。

次は特許・意匠図面作成の現場で使用率の高い、Adobe Illustratorについて掘り下げてみようと思います。

意匠図面作成とAdobe Illustratorの記事をお読みください。