DPDI(意匠図面研究会)について

2019/06/15

意匠図面とは、
登録を受けようとする意匠の具体的な形態を表す図であるとともに、
意匠登録後は、意匠権の権利範囲を特定するための基礎となるものであり、
意匠出願を行うにあたって、最も重要な書類であるといっても過言ではありません。

そのため、意匠実務では、
意匠を図面に「どう表すか」、また「何を表すか」だけでなく「何を(あえて)表さないか」も含めて、
きわめて念入りに戦略を練る必要があります。

これに応えるために、意匠図面作成の現場では、
線の一本一本、陰影(ハイライト)のひとつひとつにまで及ぶ、細やかな検討が重ねられます。
巨大な物、微小な物、柔らかく容易に変形する物、質感のある物、非常に薄い物など、
さまざまな物品の性質を的確に描き分け、見る者に意匠の形態を正確かつ明確に伝えるためには、
正投影図や等角投影図などの図法の知識にとどまらず、
経験に裏打ちされた確かな技術と、意匠図面ならではの表現力などが必要です。

いま、日本の意匠制度は、
ハーグ協定ジュネーブ改正協定加盟にともなう国際基準への適応のため、
図面の簡略化を許容する道をたどりつつありますが、
その一方で、意匠図面の重要性はこれまでと何ら変わってはいません。
むしろ、拡大しようとするインダストリアルデザインの可能性にしたがって、
意匠図面はさらに新たな展開を迎えようとしています。

2018年、経済産業省と特許庁は、『「デザイン経営」宣言』という政策提言によって、
デザインを軸に据えた新たな企業経営の方向性を提案しました。

また近年、
デザインは、ユーザーに提供する「モノ」の造形そのものであるにとどまらず、
ユーザーの経験/体験(コト)をかたちづくり、
人間の日常の質を高める手段、あるいは非日常を創造する手段として、
これまでにないフィールドへも急速に拡張しようとしています。

このような状況を背景に、
意匠権が保護する対象の拡大(画像デザイン、空間デザインなど)が強く要請される現在、
意匠図面のあり方は、当然ながら、さらなる多様化が予想されています。

わたしたち「意匠図面研究会(DPDI)」は、
意匠登録を受けようとする物品の性質や特徴によって、あるいは意匠戦略の方向性によって、
意匠図面はどのような表現をとるのが最善といえるのか、

また、
意匠図面を、いかに迅速、正確かつ効率よく作成するか、
意匠図面の品質向上のために必要なことは何か、
を研究する団体です。 

さらに、
意匠図面作成者、弁理士などの意匠実務家、企業知財部員、デザイナーなど、
意匠に直接的・間接的に関わるさまざまな立場の方々が、垣根を超えて集まる場を提供し、
人と人のつながりを作り、
情報の交換・共有から相互に学び、
あらたな人材をはぐくみ、ともに研鑚、発展することにより、
最終的には、意匠制度の振興に資することを目的とする団体です。

 

Posted by DPDI Staff