米国意匠図面の描き方

米国意匠図面の描き方について質問を受けることが多いため、基本的なことをお伝えすべく、ここでは米国意匠特許ガイドラインの日本語仮訳で関係しそうなところの抜粋をご紹介する。仮訳なので日本語として読み取りづらいところもあるがご容赦いただきたい。

【米国意匠特許ガイドライン(日本語仮訳)】⇒ 意匠の表現及び願書記載事項に関する箇所を抜粋

意匠特許出願の構成要素

意匠特許出願の構成要素には、下記のものを含めるべきである。

1.出願人の名前、意匠の名称、ならびに意匠が具現されている物品の特性および 意図される用途の簡単な説明を明記する、前文。

2.図面の図の説明。

3.形態の説明(任意)。

4.単一のクレーム。

5.図面または写真。

6.署名済み宣誓書または宣言書。

さらに、特許規則 §1.16 (f)に定められている出願手数料も必要である。

出願人が 小規模事業者(独立した発明者/創作者、中小企業または非営利組織)である場合、 出願手数料は半額に減額される。

◆前文

前文(含まれる場合)には、出願人の名前、意匠の名称、ならびに意匠が具現されている物品の特性および意図される用途の簡単な説明を明記すべきである。

前文に 含まれたすべての情報は、権利請求された意匠が特許可能とみなされた場合、特許 に印刷される。

◆名称

意匠の名称は、一般に知られた、公衆により使用される名前により、意匠が具現さ れている物品を特定するものでなければならない。

販売名は名称として不適切であり、 使用すべきではない。実際の物品の説明的な名称は、審査官が先行例の調査の十 分な範囲を判断する際に役に立つ。

また、新しい出願に適切なクラス、サブクラスお よび特許審査官を割り当てる。

さらに出願の特許許可時に適切な特許分類を割り当 てる際にも有用である。

加えて、特許が公告された後、意匠を具現する物品の特性お よび用途を公衆が理解する上でも役に立つ。

それゆえ、出願人は具体的かつ説明的 な名称を提示することが望ましい。

◆図の説明

図の説明は、図面のそれぞれの図が表現しているもの、即ち正面図、平面図、斜 視図などを表示する。

図面の簡単な説明を除き、明細書におけるあらゆる意匠の説明は、基本的に不要 である。なぜなら原則として、図面は意匠の最良の説明だからである。しかし、特別な 説明は要求されていないが、禁じられてもいない。

図の説明に加え、下記の種類の陳述が、明細書において許容される。

1.権利請求された意匠における、図面開示に描写されていない部分の外観の説明(即ち、「右側正面図は、左側の鏡像である」)。

2.権利請求された意匠の一部を構成しない部分で、図示されていない部分を権利放棄する旨の説明。

3.図面において破線で示された周辺環境構造は、特許権を求める意匠の一部 ではないことを指摘する陳述。

4.前文に含まれていない場合は、権利請求された意匠の特性および周辺環境 用途について述べる説明。

◆単一のクレーム

意匠特許出願は、単一のクレームしか含めることができない。

クレームは、意匠が具現または応用されている物品に関して、出願人が特許を求める意匠を特定する。

クレームは、「表わされた、(意匠が具現または応用されている物品)に係る装飾的意匠」について正式な表現で記載されなければならない。

クレームにおける物品の説明 は、専門用語上、その発明の名称と一致しなければならない。

明細書に意匠の特別な説明が適切に含まれている、または意匠の変形例の適切な表示、もしくは他の説明的要素が明細書に含まれている場合には、クレームにおける「表わされた」という用語の後に続けて「および説明された」という文言を追加すべきである。

したがってクレームは、「表わされおよび説明された、(意匠が具現または応 用されている物品)に係る装飾的意匠」と記載すべきである。

◆図面または白黒写真

図面開示は、出願の最も重要な構成要素である。

すべての意匠特許出願は、権利 請求された意匠の図面または白黒写真のいずれか一方を含んでいなければならない。

図面または写真は、クレームの視覚的開示全体を構成するため、特許を求める意匠に関するいかなる要素も推測に委ねられることがないように、図面または写真が明瞭かつ完全であることが最も重要である。

意匠の図面または写真は、特許法第112条の第1パラグラフの開示要件を満たすものでなければならない。

特許法第112条の要件を満たすには、図面または写真は、権利請求された意匠の外観の完全な開示を達成する十分な数の図を含んでいなければならない。

図面は通常、白紙に黒いインクで作成するよう要求される。

図面に代わる白黒写真は、特許規則 §1.84(b)(1)および§1.152の要件を前提として許容される。

出願人は、本ガイドラインの最後に添付されている、これらの規則を参照すべきである。

これらの規則は、意匠特許出願における適切な図面の要件について詳細に定めている。

厚手(ダブルウェイト)の写真印画紙で提出された白黒写真は、その写真の表面に 図番号を記入しなければならない。

ブリストル紙に張り付けられた写真の場合、対応する写真に最も近い箇所のブリストル紙上に黒いインクで図番号を示すことができる。

1つの出願において、白黒写真とインク図面を組み合わせて、権利請求された意匠の視覚的開示の正式な提出物としてはならない。

意匠出願において写真とインク図 面の双方を含めた場合、写真と比較されたインク図面の対応する要素の不一致を生じる確率が高い。

インク図面の代わりに提出された写真は、周辺環境構造を開示してはならず、権利請求された意匠だけに制限されなければならない。

カラー図面またはカラー写真

特許庁は、カラー図面または写真が必要な理由を説明する、特許規則1.84(a)(2)に基づいて提出された申請書が承認された後に限り、意匠特許出願におけるカラー図面または写真を受理する。

かかる申請書には、特許規則 §1.17(h)に 定められた手数料、3セットのカラー図面または写真、およびそのカラー図面または写真に示された対象物を正確に描写する白黒のコピー(写真複写)1部を添付し、明細書における図面の説明の前に、下記の文言を含めなければならない。

本特許のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含んでいる。

カラー図面による本特許の写しは、請求に応じて、必要な手数料が支払われた場合 に、米国特許商標庁により提供される。

カラー写真が不備のある図面として提出され、さらにその色が権利請求された意匠の一部ではないと出願人が考える場合には、次のようなディスクレーマー(権利の一 部放棄)が明細書に追加されるべきである:「権利請求された意匠に示された色は、 当該意匠の一部を構成しない」。

原出願と一緒にディスクレーマーが提出されない場合、色は開示および権利請求された意匠の不可欠な部分とみなされる。

特許規則1.152は、正式な写真における開示が権利請求された物品に係る意匠だけに制限 されることを要求しているため、不備のある図面としてカラー写真が提出される場合 にかぎり、ディスクレーマーを用いることができる。

図面または写真には、権利請求された意匠の外観、即ち正面、背面、右側、左側、上面および底面を完全に開示する十分な数の図を含めるべきである。

要求されてはいないが、立体的意匠の外観および形状を明確に表わすため、斜視図を提出することが推奨される。

斜視図が提出された場合、斜視図において表わされた表面が明確に理解され、十分に開示されているのであれば、通常、斜視図に表わされた表面を他の図に描写する必要はない。

意匠の他の図の単なる複製である図、または平坦面でいかなる装飾性も含まれていない図は、その内容が明細書において十分に明確にされている場合には、図面から省くことができる。

例えば、意匠の左側と右側が同一または鏡像である場合には、片側の図を提出し、図面の説明において、反対側が同一または鏡像であるという陳述を含めるべきである。

意匠の底面が平坦である場合、図の説明において、底面は平坦で装飾が施されていないという陳述が含まれているのであれば、底面図を省くことができる。

「装飾が施されていない(unornamented)」という用語は、明らかに平坦ではない構造を含む、視認可能な表面を説明する際に用いるべきではない。

クレーム は物品全体に関するものであるが、通常の使用時に物品のすべての側面が視認可能ではないため、かかる側面を開示する必要がない場合もある。

意匠の要素をより 明確にする断面図は許容可能であるが、機能的形態、または権利請求された意匠の一部を構成しない内部構造を示すために提出される断面図は、要求されておらず、 許容されることもない。

表面の陰影

意匠のあらゆる立体的側面のすべての表面の性質および外形を明確に示す、適切な表面陰影を施した図面を提出すべきである。

表面の陰影は、意匠のあらゆる開口領域と中実領域とを区別するためにも必要である。

黒い色および色のコントラスト を表わすために使用される場合を除き、塗りつぶされた黒い表面陰影は許容されない。

出願時の図面において適切な表面陰影が欠如している場合、意匠の形状および 外形が特許法第112条の第1パラグラフに基づき実施不能とみなされる可能性がある。

加えて、意匠の形状が出願時の開示から明白ではない場合、出願後における表面陰影の追加は、新規事項(ニューマター)とみなされる可能性がある。

新規事項とは、原出願において表わされなかったまたは提示されなかった、クレーム、図面もしくは明細書に対して、またはこれらから追加されたあらゆるものをいう(本ガイドラインの最後に添付されている、特許法第132条および特許規則 §1.121を参照)。

破線

破線による開示は、図解のためのものにすぎないと理解されており、権利請求された意匠の一部を構成しない。

権利請求された意匠の一部を構成しないが、意匠が使用される周辺環境を示すために必要とみなされる構造は、図面において破線で示すことができる。

このようなものとして、意匠が具現または応用されている物品における、権利請求された意匠の一部とはみなされないあらゆる部分が含まれる。

クレームが 物品に係る表面装飾だけに関するものである場合、その意匠が具現されている物品 は、破線で示さなければならない。

一般に、破線が使用される場合には、破線が権利請求された意匠の表現に重なったり、交差しないようにすべきであり、権利請求された意匠の描写に使用された線より重量感のあるものにすべきではない。

周辺構造を示す破線が、権利請求された意匠の表現に必然的に重なる、または交差しなければならず、意匠の明確な理解を妨げる場合、かかる図解は、意匠の対象物を十分に開示する他の図に追加して、別個 の図として含めるべきである。

宣誓書および宣言書

出願人に義務づけられた宣誓書または宣言書は、特許規則 §1.63に定められた 要件を満たさなければならない。

開示の例

完全な開示とはどのようなものかを出願人が理解しやすいように、図面開示およびこ れに付随する明細書の例が、以下のページに提示されている。

物品全体の開示

図面の例 (抜粋)

意匠特許出願の図面において一般に使用される2種類の陰影は、直線表面陰影お よび点描である。これらを個別に、または組み合わせて、ほとんどの表面の性質およ び外形を効果的に表現することができる。

◇直面陰影

点描

直線陰影および点描の組合せ

点描および直線表面陰影は、表面のコンラストを示すために同じ対象に双方を使用することは許容されるものの、同じ表面に一緒に使用すべきではないことに留意を要する。

透明な材料

透明な表面の背後に見える要素は、破線ではなく、細い実線で示すべきであること に注意する。

破線による開示

破線は、権利請求された意匠の一部を構成しない周辺環境および境界を示すため に使用できる。

分解組立図

分解組立図は、完成図を補足するものにすぎない。各要素の関連を示すために括 弧の片方を用いなければならない。

以上